私は岐阜県岐阜市で、昔ながらの農家の大家族の長女として育ちました。両親は困っている人を放っておけない人情深い人で、私も自然の中で遊びながら、ものづくりが得意な父母の影響を受けて育ちました。

 しかし、幼い頃は社交的ではなく、自己表現が苦手でした。そんな私が唯一自分を表現できたのが美術の時間でした。作品が評価されることで少し自信がつきましたが、依然として内気で周りに流されがちな性格でした。

 社会人になると、男性の多い職場で気配りを活かしながら仕事に励み、認められるようになりました。その後、農家の長男の家に嫁ぎ、大家族の同居生活が始まりました。義母中心の生活は大変でしたが、双子の男の子を出産し、彼らの成長を支えることが生きがいになりました。

 息子たちはスポーツ少年団で野球を始め、週末は野球中心の生活に。卒団式で「人を笑顔にする仕事がしたい」と言った子の言葉に衝撃を受け、仕事の意味を考えさせられました。その後、子どもたちは全国大会を目指し努力し、親子で泣き笑いしながら乗り越えました。しかし、数ヶ月の間に仲間を次々と亡くし、「本当にやりたいことをしているか？」と自分を見つめ直すようになりました。

 そんな時、己書と出会いました。初めての体験で師匠に褒められたことで己書の魅力に引き込まれ、師範となり、新しい自分に気づきました。「みんな違っていい」と認め合うことが、人を笑顔にするのだと実感しました。

 また、20年前に作った味噌の美味しさに感動し、手作り味噌を広める活動にも関わるようになりました。味噌作りを通じて世代を超えたつながりが生まれ、食の大切さを伝えることの意義を感じています。

 食べることは笑顔と元気の源。味噌作りを通じて健康寿命を延ばし、誰もが前向きに元気に過ごせる社会を目指して活動を続けています。