2013年作『Travels』(東かおる/西山瞳 APLS1305)に続く、東かおる(ヴォーカル)・西山瞳(ピアノ)共同名義作品の2作目。
西山瞳のオリジナル曲に、東かおるが歌詞をのせ、また、楽器としてのヴォイスをのせて歌う。
前作『Travels』は、市野元彦(ギター)、橋爪亮督(サックス)、西嶋徹(ベース)という、日本のコンテンポラリー・ジャズ・シーンの最重要メンバーで制作し、緻密でテクスチャー豊かなサウンド、技巧的な歌唱で、コンテンポラリー・ヴォーカル・アルバムとして、高い評価を受けた。
この第二弾アルバム『Faces』も前作と同じメンバーで録音。
前作に引き続き、インストゥルメンタルとヴォーカルの境目のない自然なアンサンブル、音色が立体的に交換されていくアレンジ、穏やかで包み込むヴォーカルと情感的なピアノにより紡ぎ出される、それぞれの顔を持つ10曲となっている。
◉収録曲
1. Face of Yesterday(作曲 西山瞳/作詞 東かおる)
2.White Cloud Mountain Minnow(作曲 西山瞳/作詞 東かおる)
3.Pierre Without A Face(作曲 西山瞳/作詞 東かおる)
4.Fly Me To The Moon(作曲作詞 Bart Howard)
5.Manouche(作曲 西山瞳)
6.Analemma
(作曲 西山瞳/作詞 東かおる)
7.T.C.T.S.
(作曲 西山瞳)
8.J
(作曲 西山瞳/作詞 東かおる)
9.Pescadores
(作曲 西山瞳/作詞 東かおる)
10.Night
(作曲作詞 西山瞳)
◉メンバー
東かおる(Vocals)
西山瞳(Piano, Compose, Arrange)
市野元彦(Guitar)
橋爪亮督(Tenor & Soprano Sax)
西嶋徹(Bass)
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2020年録音 Meantone Records (MT-09)
”リズムやメロディーや即興性よりもハーモニーが気になり始めてから、繊細でやわらかく他の音に配慮しながら、調和を生み出すような音楽に惹かれるようになった。この『Faces』ではその声色や質感を自在に変える楽器のような「声」を中心にいくつかの音が重なると、周りの空気の色合いや手触りをふっと変えるように音が響き合う。こういうやさしい刺激が鳴っているささやかでインティメイトなジャズを僕は探していた。”
〜柳樂光隆〜
ボーカリストの東かおると、ピアニストの西山瞳の共作によるアルバム、『FACES』を聴いている時に、ふつふつと込み上げてきた感情だ。
そんな想いが込み上げてくる作品に出会う事はあまりないが、この作品には自然とそれを感じた。
東かおるは伝統的なジャズボーカルのスタイルでも活躍しているが、ラージ・アンサンブルとの競演等、既存のジャズボーカルの枠にとらわれない活動を展開し、“声の表現”を追求してきた。
一時期はニューヨークで研鑽を積み、現在は関西を中心に活動、後進の指導にも積極的に参画している。
ピアノの西山瞳は魅力的なオリジナル楽曲を次々と生み出し、独自の世界観を確立。これまでリリースしてきたアルバムはそれぞれ高い評価を得ている。また近年ではヘヴィ・メタルの楽曲をジャズのフィールドで解釈する「NHORHM」での活動も多方面で話題を呼んでいる。
様々な表現を探求する2人は度々共演を重ね、2013年には『Travels』(2013年)を発表。今回の『FACES』も『Travels』同様、橋爪亮督(テナー&ソプラノサックス)、市野元彦(ギター)、西嶋徹(ベース)を迎え、世界観をさらに成熟させている。
西山の楽曲に東が歌詞をつけ、楽曲によってはボーカルというよりも「Voice」として、西山のピアノや他の楽器陣が生み出すサウンドに東の声が溶け込んでいく。
ボーカルと楽器を、リスナーはそれぞれ“別々”のものとして向き合う事があるかもしれないが、本作では、そういった型にはまった聴き方に捉われずに耳を傾けてほしい。
“White Cloud Mountain Minnow”でバンドが生み出す暖かい響き。東のVoiceがふわりと歌い出し、西山の奏でる軽やかな旋律に乗り、東と西嶋の織り成す音が心地良い“Manouche”。印象的なメロディと叙情的なピアノに惹きつけられる“Pescadores”など、各人の高いポテンシャルによって、精緻なタペストリーのような、味わい深い色彩に満ちた作品となっている。
様々な事で世界が揺れ動く中で、このアルバムは日々の中で生まれる、平穏のひと時に優しく寄り添い、いたわるような、そんな力を秘めている、とも感じた。
聴けば聴くほど心に馴染んでいくのは、そんな力があるからかもしれない。
〜The Beat Goes On〜日頃の感謝を込めて、リザーブストック特別価格の送料無料でお届けさせていただきます。