人間の体内の蛋白質は皮膚、筋肉など身体の基本構造に利用され、さらに様々な酵素などに利用されています。この蛋白質を作る設計図が、染色体中にある遺伝子DNAです。
このDNAを構成する塩基の大部分は共通していますが一部に違いがあり、それが個人差や個性となっています。その違いを遺伝子多型と呼びます。
子供達が発達課題を実行する過程で、この遺伝子多型が個人差を生み出すことになります。
その症状によっては、脳の発達課題を実行する時間経過の長短に遺伝子多型の影響があるかどうかを確認して、発達の支援を検討する場合があります。
この遺伝子多型検査は、約1万件以上の論文を調べ、数多くある検査項目の中から基本的に必要と判断した約30ヶ所を選び検査を行っています。
記憶力・学習力・情動反応・恐怖心・共感性・判断力・認知力・聴力・こだわり・視力・多動傾向・攻撃性などに関与する様々な受容体遺伝子に、変異があるかを調べます。
すでに症状がある場合は、その行動と検査結果を基に補助する栄養物質をご提案いたします。
まだ、症状が現れていない場合は、発現しないように環境を整えることが重要になります。
【発達障害研究の始まり】
1943年米国の小児精神科医師レオ・カナーが、11名の子供たちの症例を報告しました。
他者への関心が極端に乏しく、こだわりが強い、いわゆる典型的な自閉症のことを指して「カナー型の自閉症」とも言われることがあります。
1944年には、オーストリアの医師ハンス・アスペルガーが、下記のような症状を持った子供たちの症例を発表しました。
- 社会的に孤立しており、自己中心的で、常識を欠き、他者の感情への関心が欠如している。
- 言語の使用の問題があり、表情などの非言語性のコミュニケーションが乏しい。
- 反復的な行動パターンや限局された興味・関心を持つ。
1981年になり、イギリスの医師、ローナ・ウイングが、アスペルガーの論文を見出したこと
から、アスペルガー症候群という名前が広がりました。
【遺伝子検査で何がわかるの?】
遺伝子を構成しているDNAの配列は個体差で変化があり、遺伝子多型と呼ばれています。
変異は誰にでもありますが、それらの遺伝子にどれくらいの変異があるかによって、特徴的な症状や問題行動が現れやすくなります。それを調べるのが、遺伝子多型検査です。
個人差(個性)と関係するDNAの遺伝子多型は限りなく存在しますが、弊社ではその中から、脳の発達に影響の強い部分数30項目に注目して検査を行います。
もちろん30項目程度の遺伝子多型検査で、その全容を明らかにすることは出来ませんが、検査結果からは、問題行動を引き起こす原因の一部が見えてきます。
例えば、これらの検査項目に変異があると、タンパク質のわずかな構造変化が起こり、酵素反応速度などに影響し、広汎性発達障害の特徴的な症状となって現れます。
それを補うために、ビタミンなどを利用してわずかでもそのタンパク質の働きの補完を行うことで多くの研究論文を裏付けるような改善結果が得られています。
遺伝子多型検査で脳に関係する変異を確認することは、必要な改善策を見つける手がかりとなるだけではなく、それに基づいて環境を整えることで、たとえ変異があっても発現を防ぐことも可能になります。
これがが遺伝子多型検査の大きなメリットと言えます。
【一生に一度だけの検査】
遺伝子検査は一生に一度だけ、何歳で受けても結果は同じです。
脳の変異は一生変わりませんが、
脳にはその環境に適応するような機能が備わっています。
その環境や出来事に対処しようと、脳が変化していくということです。
検査結果から現状を把握し、できるだけ環境を整えることで脳は変化する可能性が十分あるということです。
【環境による発達の違い】
脳は常に電気信号が行き交っており、その電気が行き交うのが神経回路です。
この神経回路は、発達においてとても重要です。
特に子どもの頃は、さまざまな刺激に対応しようと、いたるところに神経を伸ばしていくので、神経の発達は盛んに行われます。
このいたるところに神経を伸ばした後、使われるものと使われないものに分類分けされていきます。
使われないものは捨てて、使われているものはどんどん強化されていきます。
この現象を脳の可塑性と言います。
脳の可塑性は、刺激が多い環境で、なにかに取り組んでいるときに多く起こります。
脳の可塑性には、良い可塑性と悪い可塑性がありますが、これは環境によってかなり左右されます。つまり、環境によって、発達の違いが起きるということです。
脳に悪い影響を及ぼす環境を断捨離し、できるだけ環境を整え、いろいろなことにチャレンジすることは、発達にとても有意義だということです。
□年齢相応の友達関係がない。
□相手が嫌がることをわざと繰り返す。
□身体に触れられることを嫌がる。
□要求がある時だけ自分から人に関わる。
□オウム返しの応答が目立つ。
□CMなどをそのまま繰り返し言う。
□ビデオの特定画面を繰りかえす。
□急に泣いたり怒ったりする。
□頭を壁に打ち付ける、手を咬む、自傷行為がある。
□人からからかわれた時の反応が場に合っていない。
□人の気持ちや意図が分からない。
□気分の波が激しく、落ち込みと興奮を繰り返す。
□つま先で歩くことがある。
□全身や身体の一部を同じパターンで動かし続ける。
□チック症状(まばたき、首振り、汚い言葉などが)ある。
□物などの並び方にこだわりがある。
□ページめくりや紙破りなどを繰り返す。
□普段の状況や手順が急に変わると混乱する。
□視線が合わない。
□物を横眼で見たり、極度に目を近づけて見る。
□くるくる回るものを見るのが好き。
□特定の音や大きな音を嫌がる。
□名前を呼んでも振り向かない場合がある。
□大勢の会話では誰が誰に話しているか分からない。
□偏食が強く、食べ物のレパートリーが極端に狭い。
□食べ物でないものを食べたり飲んだりする。
□痛みや熱さなどに鈍感、または敏感であったりする。
□過去のいやな事を思い出し、不安定になる。
□何でもないのひどく怖がる。
□注意しても危険なことをする。
□恥ずかしさを感じていないように見える。
□被害的、猜疑的、攻撃的になりやすい。
□言葉の遅れがある。
□一方通行で自分の言いたいことを言う。
□会話が続かない。
□難しい言葉を使うが、意味はよく分かっていない。
□同じ質問をしつこくする。
□周囲に配慮せずに自分中心の行動をする。
□場に不適切なほど、行動に落ち着きがない。
□集中して何かを続けることが少ない。
□何かにつけ、自分が一番でないと気が済まない。
□地名や駅名などの知識獲得に没頭する。
□どのように、何故、と言った説明が出来ない。
□冗談や皮肉が分からず、文字どおりを受け取る。
□喜びの感情などが表れにくい。
□具体的な目標を持っている感じではない。