「本当の私」は、どこにいるんだろう？

 幼い頃から、そんな問いを心に抱えて生きてきました。

 コテコテの昭和世代の両親に育てられながら、幼少期を海外で8年間過ごした私は、

 帰国後、まったく異なる文化の中で生きづらさを感じました。

 「馴染まなきゃ」「周りと同じにならなきゃ」——そうやって頑張るほど、

 周囲からは「やっぱりちょっと違うよね」と言われる日々。

 心のどこかでずっと、自分の居場所を探し続けていました。

 30代でアメリカに留学。

 「今度こそ、わたしらしく生きられる」と思ったけれど、現地で生まれ育った人たちの

 輪に入れず、また孤独を感じる。どこにいても“本当の自分”ではいられない。

 そんな焦燥感が、心の奥でずっと消えませんでした。

 その後、国際結婚をし、母となった私に訪れたのは、さらなる人生の課題。

 愛する我が子が、ADHDの傾向があるグレーゾーンと診断されたのです。

 「何をしてあげればいいの？」

 「私の育て方が間違っていたの？」

 ——苦しみの中で、本をむさぼるように読み、知識はあっても

 心と行動がついていかず、同じことを繰り返す日々。

 気づけば、親にされたようなことを我が子にもしてしまい、自己嫌悪の連続でした。

 そんな私を救ってくれたのが、「心理学」との出会いでした。

 自らの幼少期の親との関係と向き合い、

 欠けているところを責めるのではなく、

 すでにある“強み”に目を向けることで、

 子どもも私自身も、前向きに、しなやかに変わっていけることを、身をもって体験しました。

 正解のない子育ての中で、その子に合った道を一緒に探りながら、

 私自身も、ひとりの母として、人として、少しずつ“本当の私”に近づいてきた気がします。

 気がつけば、親との関係も自然に変化し、

 「自分を幸せにすることが、周りの人をも幸せにする」——この真実に、ようやくたどり着きました。

 私は今、「自分軸で生きる人を増やすライフコーチ」として、

 他人の期待や「〜すべき」から解き放たれ、

 自分らしさを自由に表現できる人を一人でも多く増やしたいと願っています。

 多様な価値観が輝き合うとき、そこには想像を超える創造とつながりが生まれます。

 そしてその始まりは、いつだって——“自分を知ること”から。