📘 絵本が大人にもたらす力
1. 感情にアクセスしやすくなる
絵本はシンプルな言葉とイメージで構成されており、大人が普段抑えている感情(悲しみ、寂しさ、喜びなど)をやさしく呼び起こす力があります。
→「こんなふうに泣きたかったんだ」「私もこう思ってた」と、素直な感情に触れやすくなる。
2. インナーチャイルドとの再会
子どもの頃の自分(インナーチャイルド)に語りかけるような内容が多く、癒しや気づき、許しが起きやすい。
3. 想像力を取り戻す
忙しい大人は「頭で考える」ことばかりになりがちですが、絵本を読むことで想像し感じる右脳的な感覚が呼び覚まされます。
🎯 コーチング的な力
1. 問いかけが潜んでいる
絵本には直接的な問いがなくても、「あなたはどう思う?」「あなたならどうする?」という内省を促す構造があります。
2. Be(在り方)を思い出させる
絵本は、何かを達成する話よりも「ありのままを受け入れる」「愛されている」「大丈夫」という存在そのものの価値に光を当てます。
→ コーチングで大切にされる「自己受容」「可能性」「内なる答えを引き出す」プロセスと一致しています。
🫂 カウンセリング的な力
1. 共感と安心感を提供する
絵本のキャラクターの感情に共感することで、読者自身の感情も受け入れられ、癒される体験になります。
2. 投影と物語の力
クライエントが自分の気持ちを直接言葉にできないときも、絵本のキャラクターに自分を投影することで、間接的に自己表現・自己理解が進みます。
→ これは箱庭療法やアートセラピーにも通じる象徴的アプローチです。
🧠 脳科学的な視点:絵本を読んでいるときの大人と子どもの違い
🧒 子ども
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主に右脳(感覚・イメージ・感情)を使って受け取っています。
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絵本の「絵」を通じて視覚情報を処理しながら、物語に没入し、自分がキャラクターになったように体験します(ミラーニューロンが活性化)。
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言葉の意味以上に「語り口」「声のトーン」「共に読む空気」など、非言語的な情報を強く感じ取る。
🧑 大人
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経験・知識・論理的理解を基盤とした左脳が優位になりがち。
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ただし、絵本を読むことで普段使わない右脳(感性・感情・想像力)が活性化され、前頭前野の緊張がゆるむ(=リラックスや瞑想状態に近づく)。
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また、**扁桃体(感情)と海馬(記憶)**の連携によって、過去の記憶や感情が引き出されることがある。
🧠 脳内での共通点
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大人も子どもも絵本の読み聞かせにより、**オキシトシン(愛情ホルモン)**が分泌される。
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安心・つながり・信頼感が育まれ、心が開きやすい状態になる。
🧩 総まとめ:絵本の力とは?
観点 | 絵本のもたらす力 |
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感情面 | 安心・共感・癒し・感情の解放 |
思考面 | 気づき・問い・内省・価値観の再確認 |
脳科学 | 右脳の活性化・リラックス・記憶と感情の統合 |
コーチング | 自己理解・自己肯定感・Beの回復 |
カウンセリング | 投影・内なる声との対話・癒しのプロセス |
📊 調査報告例:REPRINTSプロジェクトなど
🧓 東京都健康長寿医療センターによる追跡研究
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REPRINTSプロジェクト(2003年〜):高齢者ボランティアが子どもに絵本を読み聞かせる活動を行い、6年後のMRI検査で海馬の萎縮が抑制されたことが確認されました。
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読み聞かせグループの海馬萎縮率:約0.5%
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対照群(読み聞かせなし):約4.1%
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+11tyojyu.or.jp+11minnanokaigo.com+11tokyo-np.co.jp+1brain-gr.com+1mainichi.jp
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同研究では、記憶力向上も確認されています。
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講座を受けた高齢者の30分後の記憶保持率が**62.7% → 74.0%**に改善。
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講座なしグループは**58.8% → 56.7%**とほぼ横ばい mainichigahakken.net+4tokyo-np.co.jp+4mainichi.co.jp+4
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活動には、「本選び・練習・発表・振り返り」などの流れがあり、これが知的刺激・社会参加・ストレスマネジメントにつながる要因とされています time.com+7minnanokaigo.com+7tokyo-np.co.jp+7。
🧠 脳科学的な観点から
1. 海馬(記憶中枢)の萎縮抑制
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読み聞かせの知的・社会的活動により、記憶処理を担う海馬の萎縮が抑制されることがMRIで示されています mainichi.jp+6tyojyu.or.jp+6tokyo-np.co.jp+6。
2. 神経ネットワークの活性化
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読む内容を理解し覚え、子どもに伝える際に声や表現も工夫することで、言語・認知・感情制御・記憶など多様な脳領域を同時に使います 。
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「英語を学ぶのと同レベルの脳刺激」になる、との報告もあります 。
3. 認知予備力(Cognitive reserve)の向上
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「読む」「話す」「選ぶ」などの活動が加わることで、認知予備力が増し、脳に蓄積された病理があっても機能低下を遅らせる効果があると考えられています eatingwell.com。
4. ホルモン分泌と情緒への良い影響
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社会的交流や成功体験からオキシトシンなどのポジティブなホルモンが分泌され、セロトニンやドーパミンも促進されることで、ストレス軽減・気分安定・集中力向上が期待できます。
🔍 その他の研究から
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香港 JAMA Psychiatryの研究(65歳以上15,500人対象)では、読書や知的活動により認知症リスクが低下するという関連が確認されています pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+12time.com+12reddit.com+12。
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Neurology誌では、80歳前後の高齢者1,900人の調査で、定期的な読書・ゲームが発症時期を5年遅らせる可能性があると報告されています reddit.com+2eatingwell.com+2time.com+2。
✅ 絵本読み聞かせの認知症予防におけるまとめ
効果分野 | 内容 |
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海馬の萎縮抑制 | 6年間で約0.5% vs 4.1%(対照群) |
記憶力向上 | 記憶保持率 62.7→74.0%に改善 |
脳ネットワーク活性化 | 言語・感情・表現を伴う複合的刺激 |
認知予備力向上 | 多様な知的・社会的活動による効果 |
ホルモン・情緒への好影響 | オキシトシンなど分泌によるストレス緩和 |